晴々 haruharu

今年の目標は「できる限り、健康になる」

78回目の長崎原爆の日を迎えて思ったこと。あるいは、推し活を無意味だと思う人に伝えたい、わたしが推しを推す理由

今年、長崎は78回目の原爆の日を迎えました。

わたしはこのブログに推しの名前を書かないと決めているのですが、わたしの推しは長崎出身です。

推しの父・Aさんは12歳で被爆し、存命中に被爆者健康手帳を取得していました。*1
つまり、推しはいわゆる被爆2世」と呼ばれる人々にあたります


実際に、推しは2009年8月9日放送のラジオ番組で、みずからが被爆2世であることを公表しています。
それまでの推しの言動や、客観的な事実を踏まえて、「推しが被爆2世であること」は、この公表前から、ファンの間では公然の事実でした。

しかしながら、いまも当時のニュースがネット上に残っているほどで、おそらく推しのファンでない人々にとって、この情報は、割とセンセーショナルに受け止められたのではないかと感じています。


推しはこののち、2014年、長崎の被爆樹木をテーマにした楽曲を発表。被爆樹木の保全を目的とする平和活動に直接的に関わっていくようになります。

楽曲の歌詞に登場する、爆風で破壊され、片側1本だけで現存する「片足鳥居」は、ファンの間で聖地のようになり、わたしも実際に訪問しました。


もしも、推しがいなければ、


我々の推しは、割と「文化人寄り」の人間だとわたしは思っています。

NHKの番組で絶滅危惧種の動物たちを取材したり、スチールカメラマンとしてオリンピックで現地取材をしたり、普通の歌手や俳優ではあまり行わないようなお仕事を、たくさんしてきてくれました。

そもそも芸能活動というのは、いくら本人がそういう仕事をしたがったとしても、なによりオファーがあってこそですから、推しがその仕事をしているということは、誰かが、推しがその仕事を全うできるであろうと評価してくれたたまものです。


推しのファンであるわたしたちは、「推しが出てるから観た」ものって、すごくたくさんありませんか?


推しが長崎出身でなかったら、わたしは片足鳥居を見に行くことはなかったと思います。なぜなら、現地に赴いたのは、推しのコンサートのついでだったから……!

それでも、現地で実際に片足鳥居を見て触れた経験はわたしの心に大きな衝撃を残しました。

石造の鳥居を真っ二つにしてしまう爆風を受けた被爆樹木が今も青々と木の葉を茂らせていること。しかしながら、無傷というわけではなく、爆発の衝撃や、突き刺さった当時の瓦礫などが影響して幹に空洞ができてしまい、樹木医の手で治療が行われていること。
推しが楽曲にしてくれなかったら、わたしはきっと知ることはできませんでした。

わたしは、推し活の最大のメリットはここにあると思っています。


どんなに心や時間や金銭を注いても、彼氏にも彼女にも、まして夫や妻には決してならない相手に想いを寄せることは、無意味だと言う人がいます。
価値観の問題かもしれませんが、その観点だけで言えば、たしかに推し活は無意味なものなのでしょう。


ただ、推しがいたからこそ知ることができたこと・見ることができたもの……
それらを得た経験が、すべて無意味なものだとは、わたしには、決して思えない
のです。



2021年4月、推しはNHKの「ファミリーヒストリー」に出演しましたよね。

この番組のなかで、推しと我々は、推しの父・Aさんとそのご家族が、8月9日を生き延びられたのは、小さな偶然が重なった奇跡的な出来事だったことを知りました。

そもそも我々が推しに出会って推すことになったのも、割と奇跡寄りの偶然だったのではないでしょうか。
そりゃ、推しを伴侶にできたらもちろん嬉しいです。でも、我々は、伴侶からしか学べないわけではありません

推しがいたからこそ、知ることができたこと、感じられた思いを、心の糧として生きていく……そんな人生があってもいいと、わたしは心からそう思います。

*1:出典2021年4月26日放送 NHKファミリーヒストリー