晴々 haruharu

今年の目標は「できる限り、健康になる」

原作者さんってすごい。あるいは、推しの映画を観に行って改めて思うこと

9月16日公開の推しの主演映画を観てきました。
このブログには推しの名前は絶対に書かないと決めているので、映画のタイトルも書きませんが、すっっっごく良かったです……。

実はもう既に今日時点で2回観てきておりますが、なにやらどこかのシーンで地元がロケ地になっているっぽい*1ので、どのシーンが地元なのかがわかるまで、劇場に通い続ける所存です。

「原作」と「映像作品」のいい関係


実は原作者さんは、このシリーズの作品が初めて映像化される前、ご自身の作品の巻末の解説で、現在我々の推しが演っている「主人公」の役柄の「キャラクターイメージ」を、某大御所個性派俳優さんの具体名を挙げてお話されていたのだそうで。

そのため、映像化前からの原作ファンのみなさんは、「知的ながらも、どこか狂気を宿したような、ちょっとほの暗いイメージ」から、突如「長身のイケメン」になってしまった主人公に対して、違和感を訴える方も少なくありませんでした。
わたしも当時、原作ファンの友人から「なんで○○なの!?」と詰められたことがありました。そこの事情はさすがにわからんよ。


放送前、かなり深い理系の専門分野を描くドラマに対する意見は賛否が分かれ、完全に文系なわたしも、「楽しめるかな……」と不安になったりしましたが……蓋を開けてみると、これがまさかの大ヒット!

このキャラクターは、推しの代名詞とも言える当たり役になり、推しをモノマネする人のセリフまでガラッと変える、推しのキャリアのなかでも、とても大きな転機のひとつになりました。


映像化にあたり、変更点は他にもありました。
当初原作には存在しなかった、「女性キャラクター」の存在です。


某お台場のテレビ局が、月曜よる9時に放送するテレビドラマは「月9」と呼ばれ、社会現象をも巻き起こす特別な放送枠。
□ンバケとかHER○とか、めっちゃすごかったじゃないですか。

その月9でこの作品がドラマ化されるにあたって、ドラマ制作者側から、「主人公のバディになる女性キャラクターを出したい」という依頼があったとのこと。
原作者さんはこれを承諾する代わりに、みずからこの女性キャラクターの設定を書き、原作で主人公のバディ役である既存の男性キャラクターの存在を残しつつ、ドラマ版に女性バディを登場させます。

のちに、この女性キャラクターは原作にも逆輸入的に取り入れられ、原作世界にも、女性バディの居場所が作られました。


他の映像作品では、映像化時に、原作に登場するキャラクターの性別が意図的に変更されている場合が割とよくあります。

それというのも、テレビドラマの視聴者は、F1・F2世代*2と呼ばれる、20代から50代程度の女性が大半を占めていて、製作者側の「たくさんイケメン出しときゃいいだろ」という考えなのか、「うちの若手をお願いします」的な事務所側の推進力のどちらかで、「男性キャラを増やしたい」とされたりすることが多いらしく……
このシリーズで言うと、おそらく「恋愛的な要素がちょっと欲しい」という要請だったんでしょう。
この作品でも、「女性バディを」という制作者側の要望に対して、原作に登場する準主役の男性キャラクターの性別を変更することが、おそらくいちばん簡単だったに違いありません。

しかしながら、原作者さんがそれを許さず、女性バディを新たに作ってくださったことが、その後の作品世界を大きく変えたとわたしは感じています。


特に、シリーズ3作目になる今回の映画とスペシャルドラマは、男性バディと主人公の「友情」が色濃く描かれている作品です。
映像化初期の段階で、この男性キャラクターが女性になっていたとしたら、制作者側が意図していても、そうでなくても、視聴者側の感想のなかに、「友情」以外の、何らかの他意が含まれてしまっただろうと感じますし、そもそも今回のストーリー自体が生み出されていない可能性も大いにあり得ます。
同性同士でも恋に落ちることも、もちろんあるはずだけれど。

テレビドラマシリーズ1作目の際に、男性バディの存在を保全しつつ、女性バディも用意したことにより、その後の作品でさまざまな関係性を描けたわけですから、「原作者さんはこの展開を、何手先まで読まれていたのだろう」と、深く感心しています。


しかしながら、当初は、「思い入れがあって描いたはずのキャラクターを、本来のイメージとはかなり乖離のある俳優が演じることに、原作者さんはどんな思いがあったのだろう」と考えてしまう時期がわたしにすらありました。
だからこそ、推しは、原作を読んで「これは自分に当て書きされている」と感じられたときの感動を繰り返し口にするのでは……とも思うのです。


結果としてヒット作になったものの、もしそうならなかったとしたら……原作者さんのイメージを変えてまで推しが演ったこと自体が、「ヒットできなかった」罪の、状況証拠のひとつになりかねなかった。
推しにもプレッシャーがあったことでしょう……実に頑張った……。

安心してください


推しは今もぷるぷる震えているのではないかと心配になります。
まだ使ってないムビチケが2枚あるし、お友達も連れて、まだまだ観に行きますからね!大丈夫よ!!祈!大ヒット!!!

以下 追記(2022年12月)


推しがこの作品で、某新聞社開催の映画賞の「主演男優賞」を受賞しましたね。

実は推しには、過去に、自分の主演作で、自分以外の主要キャスト2名は助演男優賞助演女優賞にノミネートしたものの、みずからはノミネートすらしなかった……という苦い過去がありました。

わたしはずっと、推しが「歌手と俳優の二足のわらじであること」が、推しの演技に対する社会的な評価に少し影を落としているのではと感じていたので、この賞を獲得できたことがとても嬉しくなりました。

安心できましたか。
ファンはあなたの力になれましたか。

また次の機会があったら、そのときあなたは、また不安になるでしょう。
でも、大丈夫よ!!!
わたしたちがついていますからね!!!!!!

*1:エンドロールの撮影協力欄に地元のフィルムコミッションが載っているため。

*2:マーケティング用語。15歳区切りで男性と女性を分類し、F1世代は20〜34歳の、F2世代は35〜50歳の女性とされている。
インターネット普及前のマーケティングによく用いられてきましたが、ライフスタイルの多様化もあり、「さすがにくくりが大雑把すぎる」と気付いたのか、最近はあまり使われていない気がする。