晴々 haruharu

今年の目標は「できる限り、健康になる」

三浦春馬くんの死に関して、再捜査を希望するデモに肯定的なみなさんについて、思ったこと

これからする話は、あまり楽しい話ではないです。

わたしが大好きな推しの、事務所の後輩である、三浦春馬くんが、昨年7月にお亡くなりになりました。

わたしは、お顔に特徴的なホクロがある方が何故かとても好きで、春馬くんのことももちろん好きでした。
でも、わたしにとって「一推し」ではなかったので、春馬くんが一推しで、舞台やイベントなどの現場に足繁く通っていたみなさんとは、悲しみの度合いはきっと比べものになりません。
それでも、春馬くんが亡くなったことはとても衝撃的で悲しかった。


推しもきっと動揺したのでしょう。報道の当日は、予定されていた配信番組を中止にし、春馬くんを偲ぶメッセージを寄せていました。


推しの若い頃を演じてくれた春馬くん。戦時中の青年など、難しい役柄をこなしながら、歌もダンスも抜群に才能があった春馬くん。
わたしの推しは踊れません。春馬くんはすごい。
そして、キラキラした眼差しと、自然体な語り口で、世界中や日本中にある素敵なものに出会わせてくれた春馬くん。
春馬くんの才能、人柄、本当に素敵でした。

推しが突然亡くなるって、どれほどの悲しみでしょうか。想像しても、しきれません。
でも、ファンのみなさんは、それだけ大きな悲しみを、何の準備もなく、突然渡されたわけですから……平常心でいられるはずもないことだけは、想像できました。




先日、持病による体調不良で病院に行き、家に帰って、横になりながらスマホTwitterを見ていたところ、「春馬くんのファンのみなさんが、警視庁前に集まって再捜査を希望するデモ活動を行っている」旨を伝えるツイート*1を見つけました。

以前から、春馬くんの死に関して、「何者かによって命を奪われたのではないか」とされるツイートは見かけていました。なかでも、事務所に対する不信感を抱くファンは多く、正直に言ってわたしも、「公にする情報があまりにも少なく、足りない」とは思っていたし、折に触れその旨も発言してきました。事務所に対して情報開示を要求すること自体は、まったくもって反対とは言いません。

ですが、そのデモの中心人物とされる、とある男性のTwitter上での言動や、デモ現場で撮影された動画に違和感を感じたわたしは、以下のようなツイートをしました。


春馬くんの2nd Single「Night Diver」発売時、春馬くんの公式Twitterが告知を一切行わなかった際に、ファンのみなさんが自主的に行ったTwitterのトレンドに関連ワードを入れようとする呼びかけにも参加しています。*2


また、今年の事務所の株主総会で、事務所側の立場の人物が、「真実があるなら、私達も知りたい」と、まるで他人事のように話していた件に関しても、強い憤りを感じています。


今回のデモだけにとどまらず、春馬くんの死に関して、こじつけのような陰謀論を語ったり、根拠の希薄な情報を持ち出して、他の国の方々や、事務所関係者や、同じ事務所に所属するアーティストなどをいたずらに攻撃したり……
激務から解放された春馬くんを偲び、「もう、静かに休ませてあげて」と願っているファンに対して、「擁護派」だとか、「春馬くんの好きなところを語り合おう」と、少しでも明るく春馬くんを偲ぼうとするファンに対して、「お花畑」とおっしゃったり……
デモ肯定派の方々の、そんな言動が目につき、「春馬くんは、こうなる未来を望んでいたのだろうか?」と考え込んでしまいました。

「爾に出ずるものは 爾に返る」*3
もしもあなたが、誰かに暴言を吐くのなら、その暴言は、いずれあなた自身のもとに必ず返ってきます。
あなたが誰かに向けている言葉を、誰かがあなたに言ってきたとしたら、そのときあなたはどんな気持ちになるでしょうか
そこまで考えて、そのご発言をされていますか?


きっと、「『春馬くんが何者かに命を奪われた』ということに、どうしてもしたいみなさん」は、自らの人生を自らの手で終わらせようとされる人のことを、「ことさらに弱い特殊な人間」だと思っていらっしゃるのではないでしょうか。
「私の推しはそんな人じゃない。強い人だからありえない」、そう思いたいのではないでしょうか。

わたくしごとで恐縮ですが、実は一瞬そういうことを考えた時期がありました。学生時代で、長時間の勉強に追われ、体調を崩し、それでもわたしが今も生きている理由は、「勇気がなかった」の一言につきます。
弱かったから、生き延びられました。むしろ、強い人ほど、「最後の一歩」をきちんと踏み出してしまうのかもしれません。



春馬くんの命が失われた理由が、自らの手であっても、第三者の手であっても、彼の命が失われたという事実自体が根底から変わり、彼が再びよみがえるような奇跡は起こりません。
他殺説を主張されるファンのみなさんは、「自らの推しが、何らかの理由で、命を奪いたくなるほど、誰かに憎まれていた」と、本気でそう思いたいのでしょうか?
そう思うことで「救われる」のは、いったい誰なのでしょうか?

また、今回のデモのように、春馬くんのファンに対して、春馬くんの死を利用して、「自らのイデオロギーを伝播する役割」を担わせようとしている人物がいることに、デモ参加者のみなさんは、どこまで自覚的でしょうか。
それらの人物が、「春馬くんが、高い演技力を必要とする戦争映画に数多く出演し、それをきっかけに、毎年靖国神社に参拝していたこと」や、「日本製の民芸品や工芸品をこよなく愛していたこと」など、春馬くんのとても素敵な部分を、「春馬くんが誰かに憎まれた原因」として語っていることに、違和感を抱きませんか?

デモ参加者のみなさんの目的は、あくまでも「春馬くんの死に関する事実を知ること」だったはずです。
今後も、このようなことが続けば、みなさんの時間、金銭、個人情報などの大切な財産が、「春馬くんの身に起きた出来事の真実を知るため」ではなく、単なる個人のイデオロギーのために浪費されてしまうのではないかと、とても心配しています。


わたしの推しの名前を見て、「事務所擁護派だろう」という決めつけをされる方がいらっしゃいましたが、わたしは決して事務所の擁護をしたいわけではありません。
事務所が公の場で詳しく語ってこなかったからこそ、さまざまな思惑を持った人間が、その「空白」に憶測や噂話を詰め込んでしまうのではと思うので、たとえ事務所にとり都合の悪いことでも、事実はきちんと語るべきだと思っています。
このブラックボックスがそのまま放置されていたら、将来的に、事務所がアーティストを志す逸材を獲得しようとする際、アーティスト側に事務所選びのネガティブな判断材料にされかねません。
自分たちに都合の悪いことでもきちんと公表するクリーンさは、長期的な目線で考えれば、事務所にとってプラスになると思います。

でも、もしも仮に、その空白に当たる部分の事実を公開することが、春馬くんにとって極めて大切なプライバシーを毀損してしまうような状況を招くのであれば、「明るみに出すことが、必ずしも正しいとは言えない」とも思うのです。
複雑な心境です。


デモに参加されたみなさんが本当に春馬くんのファンであるならば、彼が根拠のない情報で誰かを攻撃したり、憎んでいた姿を見たことは、絶対にないはずです。

彼が決してしなかったことを、彼の名のもとに、ファンが行うのは、やめませんか。

これから先、スロースターターな方が、春馬くんの魅力にようやく気付いて、インターネット上に残された足跡をたどることがあるかもしれません。
そのとき、三浦春馬」と検索した結果が、春馬くんの素敵な笑顔や、凛々しい横顔、その素晴らしい作品の数々ではなく、誰かが信じた陰謀論や、何者かが発した罵詈雑言のひしめきあう、暗く悲しい場になってしまうのを、春馬くんは望んでいるでしょうか?
「ファン」がそういう言動をしていると知ったら。彼はどんな表情をするでしょうか。


この文章を書くの、とても勇気が要りました。
「お前は○○ファンだから、事務所擁護派だからこういうことを言うのだろう」と攻撃されるかもしれないと。
それでも、わたしはどうしても言いたい。


あなたは春馬くんのどこが好きですか?
わたしは春馬くんの笑顔が好きです。
あなたは本当に春馬くんを好きですか?
今の状況を、春馬くんはあの笑顔で楽しそうに見つめてくれるでしょうか?


わたしには、そうは思えません。
だからこそ、この文章をしたためました。

最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

*1:わたしが拝見したのは、能町みね子さんのツイートでした。能町さんはツイートの引用を認めていらっしゃらないので、引用は差し控えます。

*2:もちろん、初回盤・通常盤、両方購入しています。

*3:出典:「孟子」 梁恵王