晴々 haruharu

今年の目標は「できる限り、健康になる」

「嫁の封書の開け方がガサツ」で幻滅する夫に対して、あるいはわたしがフジテレビ系「ノンストップ」マナー特集に思うこと

今週のお題「叫びたい!」

突然ですが、あなたは自宅に届いてきた封書をどうやって開けますか。

先ほど、テレビを見ながら身支度をしていたら、フジテレビ系の「ノンストップ」という番組で、マナーに関する討論が行われていたんです。

わたし自身、お仕事中は、お客さまに言外の部分から不快感を与えないよう努力したり、逆にお客様がモラルリスク*1の高い人間でないかのチェックのためにも、正対している相手をよく観察することがありますが、そうでないときには、相手の生命や財産を傷付けない行動であれば、ある程度寛容でもいいのではないかと思う派です。


番組の中では、「気になっていた女性がハンバーガーを食べるとき、大きな口を開けててガサツで幻滅」とかの「大きく口を開けなければどう食べるんだよ。知るかよ。勝手に夢見てただけだらや*2」としか言いようのない大学生男子の投稿とか、「息子のお友達にお貸しした衣服を、ママ友から返してもらった際、入れられていた紙袋が汚かった。自分なら、きれいな紙袋を選ぶ」に対しては、「確かにわたしもそう思う」と思うような投稿もあったのですが、一個だけものすごく引っかかる話題があったんです。

それが、「妻が封書を開ける際、指でビリビリ破いている。ガサツに見えて幻滅」みたいな内容でした。


そもそも、マナーという言葉は、「行儀・作法・礼儀」とされていて*3、行儀とは、「作法にかなうかどうかという点から見た立ち居振る舞い」のこと*4
では、作法とは何か。
「物事を行う方法。しきたり、慣習」のことです*5

たとえば、「脱いだ靴は揃えておきましょう」というマナーは、「見た目の美しさ」はもちろん、「自らの靴を片付けることで、他の人の靴の置き場を侵略せずに済む」だけでなく、「自分自身が次に靴を履くときにも、履きやすい」という、いくつもの利点があります。


これらを踏まえた上で、「封書の開け方」の件。

そもそも、妻の封書の開け方に口を出すこの夫、このとき何をしていたんでしょうか。
妻が封書を開ける姿を、ただ、ボーッと眺めていたんでしょうか?

「妻が封書を開ける姿を夫が眺めている場所」は一体どこなのでしょうか。
おそらくはだいたいが家の中ではないかと思います。
マンションのポストの前かもしれませんが、少なくとも、届いてきた封書を自己の判断のみで即開封している以上、義実家でも職場でもなければ、ましてや葬儀場でも披露宴会場でもないのではないでしょうか。

お前がポスト行って封書取り出して、お前が封を開けろよ。どうせボーッと嫁見てただけで暇してんだろ。やれよ。親展だったら別だけどな。
……と思っちゃったわたしは、ちょっと疲れてるんでしょうか。

この奥さまも、大事な大事なお手紙だったら、ハサミやレターオープナーでそっと開くのではないかと思いますが、どうってことないサプリメントのDMだとか、すぐに払う必要のある請求書が入ってる封書とかなら、忙しい合間にしている対応が、それなりになってしまうのは、ある程度仕方のないことではないかな〜って思っちゃいます。

そもそも、マナーに気を使うことができる人は、時間や気持ちに余裕がある人です。
たとえば、いつ泣き出すかわからない赤ちゃんを誰にも託せず傍に抱え、その状態で、急いで食事を取らなければならない状況のお母さんは、ナイフとフォークでステーキを一切れ一切れ優雅に口に運ぶことはできませんよね。


件の封書が、奥さまにとっては、すぐに中を見たいものであって、ハサミを手に取ってそっと開く余裕もなかったのではないかと考えたら、「その姿を夫が見たらどう思うかな」なんて考える余裕は、なくても仕方ないのではないかと、わたしは思ってしまうんです。

「ごはんを、落ち着いてこぼさず食べる」マナーは、お食事している場所の衛生管理や、食べ物を喉に詰まらせないための作法という意味で理に適っていますし、「座って、しっかり話を聞く」マナーは、相手に対する敬意を示すだけでなく、自分自身が、十分聞き取れるように、深く注意を向ける意味で理に適っています。


奥さまのガサツな姿を見たくない旦那さま。
あなたが奥さまをボーッと眺めている姿、何の理に、どう適っていますか。

あなたは「お客さま」ではありません。
どうぞ、家事にご参加ください。

奥さまと同じ忙しさを味わうさなか、あなたが忙しさの合間でポストに向かい、手に取った封書をどう開けるか。
わたしは注目しています。

*1:保険業界用語で、「保険金、給付金の不正取得を目的とする道徳的危険」がないかどうかを意味します。「反社会的勢力の人間ではないか」とか、マネーロンダリングをしようとしていないか」「保険料を払い続けられるか」という観点でも、この用語を使うときもあります。和製英語です

*2:静岡弁

*3:大辞林より

*4:大辞林より

*5:大辞林より