晴々 haruharu

今年の目標は「できる限り、健康になる」

大好きなお店がなくなっていたと知ってしまった。あるいは、「次の約束」をするために、覚悟を決めた話。

突然ですが、あなたには、好きなお店はありますか?

先日、県西部にしかなかった某お菓子屋さんが、富士宮に新規出店されるというニュースを見ました。

わたしはこの会社のお菓子が好きで、これまでは県西部に行かないと買えなかったので、これからは富士宮で買えるんだ!嬉しい!と思いながら、そのニュース記事を読み進めていました。
しかし、記事のなかに「長屋門」という単語を見つけたとたん、スクロールする指がピタッと止まってしまいました。



ここで言う「長屋門」とは、富士宮にある史跡です。
江戸時代後期の建物の門だったものを、地元要人の親戚筋である「遠藤家」が譲り受け、遠藤家の営む料亭の門として、現在の位置に移築されました。
歴史を感じる重厚な長屋門は、2003年に富士宮市によって買い取られ、2008年には門の奥にレストランがオープンしていました。


わたしはこのレストランがとても好きでした。

過去形なんです。
閉店していたのです……。


長屋門奥にあったレストランは、ビュッフェ形式のお店でした。
市内の野菜をたっぷり使ったメニューが多く、内装もとてもオシャレで、お仕事仲間との会食にも、家族での食事にも、よく行っていたつもりでした。
コロナ禍のあおりを受けてビュッフェ形式を廃止し、カフェになった……という話は、わたしも聞いていました。


「聞いていた」だけなんです。
行っていなかったのですから。


一方通行の道が多い、入り組んだ場所にあった長屋門、そしてレストラン。観光客がどれくらい訪れていたかはわからないものの、きっとあおりを受けたのでしょう。
わたしが大好きなお菓子のお店は、この長屋門のレストランが立ち退いた、空き店舗にできるそうです。

そもそも呼吸器の持病があるわたしは、コロナ禍で、ここ以外にも「外食すること」自体がかなり減ってしまっていました。
仮にわたしが行っていたところで、こうなる結果は変わらなかったのではないかとは思います。

でも、「思い出のお店がなくなってしまった」ことを、こんな形で知るのは、わたしは、嫌だった……


どんなにか心のなかでその場所を大切に思っていたとしても、お金を払ってもらえなければ、お店にとっては何の足しにもなりません。
いつもおいしいお料理をたくさん並べてくださったみなさんのことを思うと、どうしても、「ずっと行けていなくてごめんなさい」と思ってしまう。



先週、推しのライブコンサートに行きました。

今回推しは、「ライブは演る。でも、来られない人には払い戻し対応もする」という、まるで水と油のように、まったく相反するふたつのオペレーションを、一度のコンサートで同時に行いました。

やむを得ないご事情があってライブに参加できない方は、わたしの想像以上に多くいらっしゃったらしく……
推しを20年以上推してきて、これまでに40公演近くを観続けてきたわたしですら、まったく見たことのない景色に、わたしは静かに震撼してしまいました。

光る応援グッズが全く光らない場所が点々と存在する会場。「え?もう開演?このまま演るの?」と戸惑ったまま暗転する会場……実際目にしてみなければ、この気持ちはわからないかもしれない。
そのときわたしが感じた危機感は、「長屋門のレストラン」に抱いた思いと同じでした。わたしが知らない間に、グッと状況が悪化していたんだ……。

わたしが推しを推しはじめた20年以上前から、推しは既に押しも押されもせぬ大スターでした。「危険な状況だ!わたしが推してあげなければ!!なんとかしなければ!!!」そんな風に思ったことは、今まで一度もありませんでした。
でも、ついに「危機的な状況」が来てしまった。そんな気分になりました。

わたしがたったひとりで乗り込んだところで、座席をいくつも埋めることはできない。*1

焼石に水かもしれない。
それでも行きたい。


こんな身軽な行動ができるのは、アコギな自由業のわたししかいないじゃないか!!!!!!


こうした理由で、わたしは今週末の推しのライブコンサートにも遠征します。

今遠征をすることには賛否両論あってしかるべきだと思います。わたしはわたし自身の身体を守るために、感染対策という責務を全うするつもりです。

また、わたしが選択した「キャンセル分チケット」は、どこかで誰かが泣く泣く払い戻した座席であることを思えば、「私は行けないのに、あなたはなぜ」とお思いの方もいらっしゃるかもしれない。
今はただ、「あなたのお座席をお借りします。いつか必ずご一緒しましょう」という思いです。

そして、その「いつか」を用意するために、今は「行ける人が行く」ことで、推しのステージを守らなければならない。

そんな気持ちでいます。

*1:そもそも、キャンセル分のチケットはひとり1枚しか買えないのです