晴々 haruharu

今年の目標は「できる限り、健康になる」

推しによる「ベンチプレスへの熱き思い」。あるいは、ベンチプレスに熱き思いを向ける推しに対する、ファンによる「推しへの熱き思い」

突然ですが、もしもあなたのお友達が、「巨乳好きの彼から愛されるためには、両胸にシリコンを3000ccずつ入れなければならない」と言って、とんでもない豊胸手術を行おうとしたら……
あなたなら、彼女に何と言いますか?


わたしは「やめとこ?その男も、手術も」と言うと思います。
だって、無茶ですもん。
体壊すと思います。だから止めます。



先日、推しがラジオでベンチプレスの話をしていましたよね。
推しにとっての「ベンチプレス」と言う行為が、彼の心の中でどのような位置に置かれているのかを、わたしは先日のラジオで初めて知りました。

推しは「ベンチプレス100kgを上げる自分」を心底気に入っているらしく、「ベンチプレス100kg上げられる自分でないと、人に優しくなれない。自分が自分であるために、ベンチプレス100kgを上げ続けなければならない」と語ったのです。


これ、ちょっと危険な考えだなと思ってしまいました。


あんなに若々しく見える我々の推しも今や50代。
2,30代の頃の自分と現在の自分を比較すれば、基礎代謝疲労感の残り方など、実にさまざまな「変化」があったはずです。

彼も人間ですから、体型を維持して若々しさを保ち続けるためにかかる時間や、必要な努力の量は、どんどん増え続けているはず。
「時の川を渡る舟」にはオールなんてありませんから、時の流れに逆らうことは、どの生き物にとっても難しいことです。

そこで推しが目を付けたのが「ベンチプレス」


なぜなら、ベンチプレスには、「分厚い胸板」という視覚面でのハッキリとした効果を得られる他に、レーニング自体を行えば行うほど、成長ホルモンが分泌されやすくなり、新陳代謝が促されるという、身体の内面への効果も期待できるのです。

さらには「こんな重たいものを上げられる俺、スゲ〜!」という猛烈な自己肯定感も得られるし、そしてなにより……ラジオのネタになる!笑
ベンチプレスは推しにとって、さまざまな効果をもたらしているはずです。

いつまでも若々しくいてくれるなら、どんどんベンチプレス頑張ってほしいわ♡とお考えのお仲間もいらっしゃるかもしれません。


でも、人は必ず老いるのです。


おそらくラジオでのトークは、ものすごくオーバーにおもしろおかしく話をしているはずで、真に受けてこんなブログを書くこと自体が間違いかもしれません。
だとしても、「推しがベンチプレス100kgを上げられなくなる日」は、遅かれ早かれ、いつか必ずやってきます

あまり考えたくないことですが、何らかの病でそうなってしまうかもしれないし、単に肩や腕を痛めてしまって、やめざるを得なくなるのかもしれないし……
「事故」という可能性だってあります。



ベンチプレスは、腕や腕周りの筋肉だけをピンポイントで鍛えるために、「横になった状態から、バーベルを上へ持ち上げることで行うトレーニング」です。
この際、持ち上げたバーベルを手から脱落させてしまい、そのバーベルが顔や首に落ちてきて……という事故が、日本でも少なからず起きているんです。

そのような事故を防止するために、「セーフティ」と呼ばれる安全装置もあるのですが、利便性を重視して、セーフティを外してトレーニングするという、命知らずな猛者もいらっしゃるのだそうです。



ここまで書いてきて、ひとつ断っておきたいことがあります。
わたしは、「危険だから、ベンチプレスはただちに絶対やめて!」と、言いたいわけではないんです。

ただ、推しがベンチプレス100kgを上げられなくなる日が、遅かれ早かれいつか必ずやってくる以上、そのとき、推しが自らに課し続けてきた「戒律」の重さに潰されてしまわないか、わたしはとても心配に思うのです。



推しにとって「ベンチプレスを上げること」が、単なる趣味や娯楽、気分転換の楽しみではなく、自らの商品価値を維持管理していくための「手段」ならば、ベンチプレスで推しが追い込んでいるのは、果たして自らの「筋肉」だけでしょうか。

加齢による容姿の変化を「劣化」と呼び、若さや美しさをことさらに尊ぶ、いわゆるルッキズム*1と呼ばれる考え方が、「100kgのバーベル」という形で、推しの顔や首めがけて落下してしまったら……

心配症のわたしはどうしても、そんな想像ばかりしてしまうのです。

推しよ、よく聞いてください。


もしもあなたが、アンチエイジングのためにベンチプレスを行ってくれているのであれば、ファンにとって、それはとても嬉しいことです。
なぜなら、今のあなたは、めちゃくちゃカッコイイから。
ファンのために、自分を追い込んでくれてありがとう。

これは決して、「誰でもできる簡単なこと」ではありません。
ストイックなあなただからこそ続けられる、素晴らしい努力だと思います。


でも、ベンチプレスが100kg上がらなくなっても、ファンはあなたを嫌ったりしません。
ここまであなたに付き合ってきたファンは、あなたのお顔にシワやたるみができたり、あなたの身体がふくよかになったとしても、それだけであなたを一切合切大嫌いになったりは、決してしません。

どうか、目的と手段をさかさまにはしないでください。
どうかベンチプレスに「命」を懸けないでください。
これからボディービルダーになりたいなら、それも笑って受け入れるでしょうけれど……



あなたが「勝手にしやがれ」をカバーさせて頂いた、某超一流大御所歌手を見てごらんなさいよ。
まだまだ熱狂的なファンの方がたくさんいらっしゃいますよ!!!

とにかく、やるならセーフティは付けてください。
つけないのであれば、どうかベンチプレスはひとりでやらないで。

このふたつだけは、絶対、絶対、絶対に約束してください。

その約束はファンと結ぶだけではありません。
あなたのご家族もきっと、「あなたの身体だけがバキバキにキレている」状態よりも、「あなたの心も身体も、どちらも健やかであること」を祈っているはずだから。

どうか長生きしてください。
最後までファンでいますから。



なお、当ブログ記事におけるベンチプレスの効果や危険性に関しては、ゴールドジム会員でトレーニー、頑張ってもキレキレにならない50代の身体を持てあます、我が家の筋肉ご意見番こと「おっさん」がアドバイスしてくれました。
おっさんがいたからこそ、わたしはベンチプレスの危険性を認識していました。ありがとう。

*1:「外見」によって人物の価値をはかり、容姿の良い人を高く評価したり、そうでない人を低く評価したりする、外見に基づく差別や偏見のこと